看板猫の“おやすみ”に、宅配のお兄さんがしたこと
静岡県・浜松市のとある商店街の一角に、古くからある乾物屋さん「山藤商店」があります。
このお店には、地元の人に愛されている名物猫がいます。その名もふじこちゃん(メス・推定12歳)。
ふじこちゃんは開店と同時に店先の木箱にちょこんと座り、お客さんをじっと見守るのが日課。ときには箱にあごをのせてうたた寝したり、観光客の写真にも笑顔(?)で付き合ってくれる、まさに“商店街の顔”です。
そんなふじこちゃん、今朝はちょっとお疲れ気味だったのか、店のシャッターが開いたあとも奥から出てこず。
「たまにはゆっくりしてほしいなぁ」と、店主の奥さんが静かに様子を見守っていました。
その数分後、開店間もなく届いた宅配便の男性が、ふじこちゃん不在に気づくなり――
持っていた段ボールの上に、手早く**段ボール猫(手描き)**を描き、「本日ふじこはお休みです😺」とメッセージをそっと添えて立ち去っていきました。
「いつも通るたびに“おはよう”って声かけてくれてた方でねぇ。あれ見たとき、笑っちゃったけど、うれしかった」と奥さん。
午後には、ふじこちゃんがひょっこり顔を出し、いつもの場所に着席。
段ボールの「ふじこ代理」は、隣で“副看板”として一日を過ごしました。
ちょっとした不在に、誰かがやさしく気づいてくれる日常。
そこには、言葉のいらないつながりと、静かな思いやりが息づいていました。