園児のために“じっと待ってた”通園犬のハナちゃん
福岡県久留米市のある小さな保育園には、毎朝“出勤”してくるわんちゃんがいます。
名前はハナちゃん(メス・8歳・雑種犬)。園のすぐ近くに住むおばあさんと暮らしており、保育園の門の前に、毎朝きっちり7時45分に現れます。
ハナちゃんの“仕事”は、園児たちの登園を見守ること。
送り迎えの子たちにぺこりと頭を下げるような仕草を見せたり、泣いている子のそばでじっと座っていたり。
そんなハナちゃん、今朝もやって来ました――
びしょ濡れになりながら、門の前で座っていたのです。
台風の名残で、まだ風は強く、雨は横から吹き付けてくるほど。
保育士さんが「今日は来ないと思ってたのに…」と声をかけると、ハナちゃんは少しだけしっぽを振って、また座り直しました。
その後、登園してきた子どもたちがハナちゃんに気づくと、
「ハナちゃん! 来てくれたの?」
「えらいね!ハナちゃん、びしょびしょやん!」
と、傘の下に集まってきます。
先生が大きなタオルを持ってきて、玄関先でみんなでハナちゃんを拭きました。
笑い声と「ありがとうハナちゃん!」の声が響いた雨の朝。
その後、ハナちゃんは玄関マットの上でお昼寝。
おばあさんが「やっぱり行ってたかいね」と迎えにきたのは、お昼過ぎのことでした。
子どもたちの登園を見守る“無言のやさしさ”。
そのぬくもりは、雨よりもしずかに、胸に沁みていきました。