ベランダに来る“おはようの友だち”
東京都板橋区に住む松浦さん(78歳)は、毎朝6時半になると、自宅のベランダに小さな白いお皿を出します。
その中には、ほんの少しだけ砕いたパンくずと、枝豆の皮。
「決してエサ付けではなくて、“ご近所のあいさつ”なんですよ」と笑います。
やってくるのは、近所の電線に住んでいる1羽のハト。
松浦さんはそのハトに、勝手に**「シロ」と名前をつけ**、いつからか毎朝お茶を飲みながら「おはようシロ」と声をかけるのが日課になっていました。
そんなある日、少し体調を崩して寝坊してしまった松浦さん。
ベランダに出られたのは、いつもより1時間遅れの7時半。
すると、シロがベランダの手すりでじっと座っていたのです。
「鳴くでもなく、ただ待ってるように、じーっとしててね。
…ああ、気にかけてくれてるんだなって思ったら、なんか泣けてきちゃって」
その日から、シロがくる時間にあわせて、ラジオ体操を録音して流すのが松浦さんの日課に。
ハトが来るたび、「今日も元気な音を聞いて帰っていくようだ」とご近所で話題になっています。
言葉は交わせなくても、ふたりの朝は静かにつながっています。
今日も「おはよう」と、小さく鳴いて、シロは空へ。